私は看護学校を卒業してすぐに、筋ジストロフィーという病期の方たちの病棟に勤めました。筋ジストロフィーの患者様はほとんど動くことができず、ベッドの周囲が生活の場のため、手の位置や物の位置など1?単位で個人の定位置や方法があり、一つ一つ患者様に確認しながらケアを行う必要性がありました。その中で動けない患者様の気持ちや、その方々への個別性に合わせた援助を学ぶことができました。しかし、もっと様々な疾患を知り、もっといろんな技術を身につけ成長したいと思うようになりました。そして転職を決意し、スズキ病院で働くことにしました。
ここでは、今まで実践したことのないことばかりで本当に何もできず、上手くいかず、できない自分が悔しくて、周囲に申し訳なくて、落ち込んでばかりおり、今までの経験は何も活かせず、挑戦するのは間違っていたかと思うことが度々ありました。
しかし、先の療養病院では、不満や要求をぶつけられることが多かったのに比べ、ここでは患者様からは不満や要求よりも、「ありがとう」という言葉をたくさんいただき、がんばろうという気持ちが生まれてきました。自分の選んだ道、できないことが多いからこそ学ぶことはたくさんあり、それが自分の成長に繋がるのだと思い返していきました。
またそれと同時に、急性期の病院では患者様の不満や要求が少ないということは、自分の頼みたいことや不安なことをあまり言えない状況なのだということも分かりました。長期間入院している患者様は看護師が家族以上に近い存在となるため、自分の要求や不満をストレートに伝えてくれます。しかし、短期で入院される方は、看護師=お世話してくれる人、迷惑をかけている人、という認識が強く相手に気をつかい、自分の思いを半分も伝えられずに我慢している方もいらっしゃるのだと思いました。
患者様は入院するまでに様々な背景があり、様々な問題を抱えています。また入院後もたくさんの不安やストレスを感じながら生活をしていると思います。何も言わない、言えない人もたくさんいると思います。
筋ジストロフィーの患者様のように体位一つでも自分の最適な位置や方法があるように、患者様は皆個別性があり、その個別性に合わせたケアが必要だと思います。
そのためには患者様を知ろうとする気持ち、頻繁な声かけ、ケア前後の反応の観察、そして信頼関係の構築が必要です。よって私は今後も患者様の個別性を理解しようとする気持ち、思いやりの気持ちを忘れず、患者様の気持に寄り添い、信頼していただけるような看護師になっていけるように、知識・技術を身につけ成長していきたいと思います。
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