私が看護師になったきっかけというのは、特別な出来事などはなく、母親や祖母に「何か資格を取っておいた方がいいよ。例え離婚しても子供育てていけるくらいの収入がある職業がいいよ」なんて言われ、高校の頃なんて将来のことなど考えることもなく、ただただ看護学校に進んだのがきっかけでした。
高校時代に看護体験に行き、患者さんに足浴をし、「おお。溜めたお湯に足をつけ洗うことがこんなに気持ちいいんだ。」と患者さんの反応を見て嬉しかったものの「結局、看護師ってどんなことをするんだ?」が、始まりでした。
その後、看護師として働くようになったものの、自分がどんな看護をしたいのか、どんな看護師になりたいかなどの目標を、しばらくは見つけられませんでした。
看護師8年目となる頃、私はがんの専門病院で勤務していました。
そこでは受け持ちとなった看護師が、入院から退院までの計画などを一貫して担当するというやり方をしていました。
がん治療は、進行具合によっては手術もできない、また手術はできても転移があったり、それを考えられるときは、その後も抗がん剤治療や放射線治療などと、さらに治療が続く場合もあります。慣れない病院という環境へ患者さんは入院し、辛い治療をすることだけでも不安なのに、治療を進めることで、徐々に体力が衰えていく。今後の自分はどうなっていくんだろうと不安が募る、そんな姿がとても印象的でした。
それでも患者さんから「平田さーん、今日いたんだね。顔見れて嬉しいわ。」と笑って話しかけてもらったりすると、「頼りにしてくれている人がいる。嬉しい、何だか自分の親戚のおばちゃんみたい。」と心が温かくなりました。辛い治療を乗り越えて退院をした患者さんが外来の受診ついでに病棟に寄って顔を見せてくれて、「検査結果、悪くなってないって言われた。良かった。」と涙を流す姿を見たりすると、寄り添って関わることの大切さを痛感し、心の底から元気になってくれてありがとうと思うこともありました。
大したことは全然できない私だけど、「自分の家族が病気になったら?」「そこにいる患者さんは、家族にとっても大事な人なんだ。」と考えると、もっとできること、やりたいと思うことがある。それを実行できる看護師になりたい。と、看護師8年目にしてやっと目指すとこが見えてきました。
正直、忙しい日々十分に患者さんと関われないことが多く、その度に「こんな自分じゃだめだな。」と反省する毎日ですが、自分を見失わずもっともっと頑張りたいと思います。
頑張りたいと思える職業につけて親や祖母に感謝です。
(看護部長から)
とてもやさしい看護師です。いつまでもこの時の気持ちを大切にしていきましょう!
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