3人姉弟の弟二人。一番下の弟はお兄ちゃんとほとんど同じものを好きになる。二人の大好きなのはサッカーと歴史。だから話すことはいつも歴史かサッカーを絡めてくる。私は全然好きじゃない。小学校、中学校、高校と新しい歴史や日本史の教科書を持って帰ると、すぐに取られ、まだ新しいきれいな本を隅から隅まで読みあさり、挙句の果てには汚され、折られ戻されケンカが始まる。両親は弟達がこんなに好きなのだから貸してあげろと言わんばかりに私を責め、非難する。抵抗するのをやめた。
『大河ドラマが観たい』『サッカーが観たい』と言えば、もちろんテレビのチャンネルの主導権は多数決で決まる。これっぽっちも観たくない。でも、拒否権はない。
両親は子供が喜ぶようにと2種類の食べ物を用意する。じゃんけんで好きなものを取り合うという何とも過酷なゲームを提案される。お姉ちゃんはやる前から嫌な予感はする。案の定、形だけのじゃんけんをし、泣きそうになる弟に、あえて好きでもないものを選び、わからないように譲る。
いつの頃からか、当たり前のようにしてきた行動や考え方。環境というものは恐ろしい。いつも犠牲を強いられ、そして我慢を覚える。両親を怒らせたくもなければ、困らせたくない。むしろ喜んでもらいたいし、家族みんなが楽しく嬉しいことは何かを考える。幼い頃から家族内のバランスを考え、自分の意見をも調整してきた。誰に強制されたわけでもなく、勝手に身についた習性。なんとなく“損だな~”と気付いた時はもう大人。大人になるにつれ、感じることはあっても、幼い時からの習性はなかなか変えられないもの。社会人になり、いざ自分で好きなことをする時、自分の意見を求められた時は、本当に戸惑った。自分の意見を貫き通す苦労も多々あった。ただ、誰かのために、何か役に立つようにしてきた習慣は、今の仕事に役に立っているかとも考える。損だけではない、考え方次第なのかもしれないが。
そんな姉弟で、“お姉ちゃん”を育ててくれた弟2人が去年、今年と結婚し、家族を持った。なんだかとっても感慨深い。形は変われど姉弟というのは変わらない。新しい仲間が増え、今後も楽しみだ。
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