2005.2.28

週に1度のお客様
外来看護師  塩路 康子

 その男性患者さまは、毎週土曜日の午後1番にやってきます。お薬は、4週間分処方されてあり、まだまだ、たくさんあるはずですし、具合が悪そうでもありません。私たち外来スタッフだけの間では、その患者さまに親しみを込めて「Gちゃん」と呼んでいます。

 Gちゃんは、少し耳が遠く、おぼつかない足取りですが、たいていお1人で来院されます。午後の受付は1時30分からなのに11時30分には、番号札を取って座っています。そして、ちらほらとやってくる、初対面であろう他の患者さまが隣に座ると話しかけます。「私はね。今年で96歳になりましたけどね・・・・」偶然、隣に座った患者さまは、午後の診察が始まるまで、Gちゃんのお話に耳を傾ける事になります。Gちゃんは、診察が始まると内科、それから整形外科の診察を受け、最後に「そいじゃ、あとは、ひにょうの方お願いします。いや、別に具合は、いいんですが、ちょっとごあいさつにね・・・」と、泌尿器科にかかってから、杖をつきながらの危なっかしい足取りで、帰途につきます。お中元、お歳暮のシーズンになると外来スタッフ一人一人を呼びとめ、「これ、ごあいさつですから・・・」と1口サイズの練り羊羹や飴玉をスタッフのポケットにねじこめます。外は、台風、大風、大雨の日は、外来の電話が鳴ります。「いやあ〜〜今日は、台風でねぇ。家の者が行っちゃ駄目だって言うもんですから・・・今日は、行けません。どうぞ、先生によろしくお伝えください」Gちゃんがかかる科は、予約制でもないのに律儀に・・・また、ある日は、スタッフが「今日はGちゃん来ないね」なんて話していると、電話が鳴ります。「ちょっとね。今日は、風邪ひいちゃってね。具合が悪いんで、病院にはいけません。先生によろしくお伝えくださいね。」

そして、次の土曜日「先週は、すみませんでした」と律儀に言われました。私たち、外来スタッフは、Gちゃんの様子に尊敬し感心しつつ、いつまでも元気でスズキ病院に通えるよう願うのです。
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