2005.11.22

私の特技!?
病棟看護師 大谷れい子

今ではいい思い出となっている、そして私の現在の特技となった「目覚ましいらずの起床術」について書きたいと思います。

 あっ、はじめに言っておきますが今から書くことは、今では在り得ないお話なのでビックリしないで読んでください。 私は働きながら3年間、看護学校に通っていました。就職先の病院が学生の間は全寮制であったため寮生活をしていました。またその寮が半端じゃなく体育会系。というか、今ではそんな事があったら訴えられてしまうのでは・・というくらい、地獄のような厳しさでした。上下関係に厳しく、少しでも口答えするものなら3時間以上は正座・・・という世界。門限は10時。1秒でも遅れるものなら1ヵ月間、学校と勤務以外の外出禁止。そうです。自宅にも週末、帰らせてもらえないのです。寮内の生活ですが、全員パジャマ。とにかく勤務や外出から帰ったらパジャマ。私服でウロウロしようものなら即、呼び出し。何の理由があったのか、いまだ不明。(笑)そしてお風呂。入り方にもルールがあって、入ったらまず湯船の周りに正座し体を洗ってから入浴。入浴が終わったらシャワーが使えます。しかし・・・排水口のある下側のシャワーを先輩が使っていたら、どんなにシャワーが空いていても使うことができないのです。先輩に自分の汚水が流れていってしまうからです。ただじっと、先輩が終わるのを待つのみ。のぼせて死にそうになったのは数知れず・・。極めつけは各部屋での生活。入寮して半年は1つ上の先輩と6畳ひと間で生活します。優しい先輩にあたるとラッキーな半年ですが、意地悪な先輩にあたったら最悪・・・。この半年は根性で乗り切るか、辞めていくか・・という過酷なものでした。ともあれ、私の先輩はまあまあ優しい先輩でしたが、先輩は先輩。何が起ころうと、迷惑をかけてはいけないのです。たとえば、先輩よりも早く出勤しないといけない勤務の時は、まだ寝ている先輩を起こしてはいけないので目覚ましを鳴らせません。毎日緊張しながら寝て、目覚ましが鳴る前に起きなければなりません。そして電気をつけられません。電気をつけないと何も見えないので、ご飯も食べられません。そこで私は、コタツのあの赤い明かりを利用しました。先輩が寝ている反対側のコタツ布団をめくり、あの足臭い中に顔をいれながら朝食を食べました。いつの時代だよ!って、感じですよね。(笑)そしてパンを焼くのもタイマーとにらめっこ。焼きあがるとチン!と音がしますよね。あの音も許されないのです。焼きあがる寸前にすかさずコンセントを抜きます。そして先輩を起こすことなくパンが焼けます。そして私はなんとも言えない達成感でトボトボと出勤するのです。これらはそんな笑える思い出のほんの一部ですが、もっともっと過酷かつ信じられないようなエピソードがたくさんありますので、興味のある方は3階ナースステーション・大谷まで!そう。このような経験のおかげで、今では目覚ましなしで希望の時間に起きられるようになりました。これが私の特技です。

 以上、私には今となっては笑える思い出話ですが、皆様にとってはちょっとア然としてしまうお話ですよね。でも今ではこのようなところはないのでご安心を。看護の世界でも今は、科学的根拠に基づいた看護を展開しています。根拠のない看護は行えません。行動のひとつひとつに必ず根拠があります。そんな今にしてこのようなところがあったら、看護師以前の問題ですよね。(笑)まあ、今となってはいい経験と思い出です。ちなみに私は30代の看護師です。
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