2006.1.26

年の初めに想うこと
病棟看護師  西田 静香

 看護学生の時、外科病棟での実習中に受け持たせていただいた○○さんは、5日後に大きな手術を控えていました。病気からくる痛みは薬で抑えられており、日常生活も自立されている方です。しかし、入院生活での○○さんは、カーテンでベッドを仕切り、看護師や学生の私、そして同じ病室の方々ともコミュニケーションを図ろうとはしてくれません。『これは○○さんの性格なんだ。』と思いつつも、どのように対応していいのか悩んでいた時、教務の先生や先輩から「体と心は一体。接する側の対応や想いを、病んでいる患者さまは敏感に受けとめるもの。あなたしだいで患者さまは癒されもするし、また、よかれと思って行った事でも傷つけてしまう場合もある。」と助言していただきまた。看護師の対応は、患者さまの心を軽くもし、重くもする。それは病の回復過程に大きく影響することが多い。『この人はこういう人。』と、どこか患者さまの性格や可能性を決め付けていた自分を反省。私は私なりに○○さんの苦しみを分かち合おうという姿勢に少しずつ、変わることができたように思います。手術を控えてる○○さんに、今一番、何をしてさしあげればいいのか・・?真剣に向き合う中、○○さんは何度説明しても手術後の自分のイメージがつかめず、その不確かさからくる不安や苛立ちを持っていることに気づかされました。私は常に○○さんの気持ちになって行動し、声かけするように努めました。

 実習が終わり、最後まで○○さんにとった自分の対応が良かったのかどうかわからないままでしたが、教務より、「`学生がお世話になりました´と挨拶に行ったら`素直な子でしたよ´と一言、話してくれたわよ」といわれた時は驚き、また、その時の嬉しさは今でも覚えています。
 ナイチンゲールは看護の道を選んだ理由のひとつに“人を救うことで自分も救われる思いがした”ということをあげている、と聞いたことがありますが、共感できる体験でした。
 年の初め、だからでしょうか?自分の原点を思い出してみました。

 スズキ病院に入職して約一年。まだまだ未熟の私ですが、そんな自分をきちんと受け止め、看護師として、一人の人間として、日々成長していきたいと思います。
Copyright© Kouseikai Suzuki Hospital All Rights Reserved.