2006.8.24

今求められる事とは
2病棟看護師  萩原みゆき

 我が国の平均寿命は著しく延び、世界の最長寿国となっています。近年の保険制度の利用方法拡大により、患者さま主体のサービスになってきている中、看護師としての知識、技術の向上を図ることは当然ですが、今後の医療はそれだけでは成り立たないのではないかと思います。主体者個人の責任も問われるようになってきています。

 新人時代、某病院で退院指導の際、ある患者さまが『患者は自分の病気に対して勉強しているから○○は良くない、○○はやめましょう、と言うけど、そんな事は良く分かっている。分かっているのに、またかよ〜って思う・・・。』と言われた言葉に、確かに・・・。素直に受け止められ、実行されればここまで入退院を繰り返さないし、実行できないそのことが病気なのかもしれない・・・。入退院を繰り返す患者さまの多くは生活習慣病といわれる病気の悪化であり、その場合、家庭内のトラブルを抱えていることが意外に多いことに驚かされます。まさに『病は気から』なのでしょうか。看護師は病気だけでなく、病気の発端に焦点を当て接していかないことには病気を和らげることが出来ない。そのことを教訓にコミュニケーションを図り接することにより素直に受け入れていただけることが多くなったような気がします。一にも二にも患者さま、ご家族さまの立場に立つことが必要なことだと思います。“お酒を控えましょう”と話しても、患者さまの心の中では・・・「そんなこと言われるまでもなく分かっているよ。でも止められないんだ!」。“タバコを控えましょう”・・・「お前らも吸っているだろ。身体にタバコの臭いを付けている奴らに言われたくない!」きっとそう思われていることでしょう。今まで何十年も過ごされてきた生活を変えることは、私たち健康な人間でもとても困難なことで並大抵なことではありません。 無理なものは無理、それは患者さまも一緒です。もちろん看護師が指導した内容を素直に受け止めてくださり、継続して実行される方もいらっしゃいますが私は若干名なのではないかと思っています。そこでどのような指導が大切か、患者さまもお付き合いがあります。でもお酒を控えていただかないといけない。このようなときはお酒の断り方の1パターンを紹介するようにしています。その結果はどうなっているか、成果が得られているのか、それは患者さまとのコミュニケーションがどの位密に図れているかにより答えが出てくるような気がします。

私たち看護師は、病気の奥底に潜む、心のケアにも着目していく必要があるのではないかと感じます。
Copyright© Kouseikai Suzuki Hospital All Rights Reserved.