2008.3.31

今までの看護師生活を振り返ってみて
外来看護師 伊藤まり子

 私は、昨年の4月から外来で勤務しております。早いものであっという間に1年が過ぎようとしています。

 さて、今までの11年間の看護師生活を振り返ってみますと、いろいろなことが思い出されます。私は以前、10年間都内の総合病院に勤めていました。何回かの異動がありましたが、その中でも新人から3年間所属した内科病棟と、最後の3年間の精神科外来・病棟での経験は、特に貴重なものだったと思います。
 新人で配属された消化器内科病棟。実は、人の役に立つ仕事がしたいと、少し回り道をしてから看護師になった私。入職してからは、理想と現実のギャップに悩まされてばかりいました。患者さまの清拭をもっとゆっくり時間をかけて行いたい、患者様のお話をもっとゆっくり聞きたい、でも実際には申し送りに間に合わない、記録が全然書けていない、急がなければと、日々の業務に追われる毎日。学生の時のような1対1の完全な受け持ち制を理想と思っていた私は、何か違うのでは?と思いながらも、必死に目の前の仕事をこなしていました。そんな中で学んだことは、時間がないからできない、とあきらめず、今あるこの限られた時間の中で何ができるか考え、その中で優先順位をつけて仕事をするということです。順位をつけるということも、また難しいことですが、患者さまにとって何が重要かと考え、スタッフと話し合いながら、仕事の配分を決めていました。そのように仕事ができるようになって随分とジレンマを減らすことができました。そして、今書いていて思うのですが、それでもやっぱり理想は常に高く持ちたいなと思います。理想と現実の差はありますが、あきらめず、高き理想に近づくように日々努力していこうと思います。そして、精神科。同じ病院の中にいても科が違えば気づかなかったのですが、心の病に苦しむ方の多いこと。とこう書きますと、自分は無関係かのような誤解を与えかねますが、もちろん誰にでも自分にもおこりうる病気です。精神科で学んだことは、患者さまに対して先入観や偏見をもって接してはならないということです。このことはごく当たり前のことですが、全く先入観や偏見を持っていない人は少なくないと思います。精神科にかかっている患者さまは、身体症状を訴えても、精神的なものと判断されたり、精神科にかかっている人という目で見られてしまいがちです。 何だか内科や外科の病気とは全く異なる病気のように思われてしまいがちですが、たくさんある病気の中の一つに過ぎないと思います。

 もしかしたら、心の病はどんな病気よりも1番辛いかもしれません。なぜなら、外科系のように手術すれば治るわけでもなく、検査して病気の程度がデーターとして示されるわけでもなく、つらい苦しい思いが、1番他人にわかりづらいのです。そのことに気づくことにより、ありのままの患者さまを受け入れ、訴えに耳を傾け、前向きに患者さまに接することの重要性を感じました。これからも、この学び多い仕事を続けて行きたいなと思います。
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