2008.11.18

お仕置き部屋から学ぶ
外来看護師 小林ゆかり

 いまではなつかしく感じる16床を有するクリニックで上司が外科医(院長)部下が看護師(私)の一昔前のお話です。

  立ち上げから携った施設で外科を経験したスタッフが少ないこともあり、事あるごとに私は院長に呼び出され院長室でよく叱られました。自分に非があれば反省し謝ることは毎度のことですが、度重なると時には「なぜそこまできつく怒るのだろう」、とか「それは私の問題じゃあない。なんで私が怒られなきゃあいけないのだろう」、とか「勉強する時間も心の余裕もない今は無理」という思いが、あふれ、叱られている内容に反省する気にもなれず先に言い訳をしてしまうことがありました。
  当然、叱られる時間は長くなる。そうなると、翌日の気まずさは耐えがたく苦痛そのものでした。
  冷静になって考えてみると、叱られる原因は院長の期待通りの成果が上がらなかったり、院長の意図を汲むことができなかったり、単純に自分のミスだったりと私に問題があることがほとんどだったように思います。私自身、部下をもって思ったことですが、叱って気持ちのよい人はいない。むしろ砂を噛むような後味の悪さを覚える。「本当に分かってくれたのか」と不安がつきまとう。そこで部下のほうから叱られた内容を受け止めた言葉が聞かれると、上司は「理解してくれた」と実感する。
  そんな思いから私が院長にしたことは、叱られた翌日は朝いちばんに院長室に顔をだし、あいさつをする。できるだけ笑顔をつくり、しょげない。

 あとはなんといっても叱られた内容にわずかでも非があれば素直に認め、反省し、できるだけ早く謝ること。結果、つくり笑いでも笑顔でいれば落ち込んでも深刻にならないことと、院長の考えが分かり先を読めるようになりました。(笑) 院長室での反省の繰り返しは、一日の終わりに自分の仕事を振り返り整理していくことが大切だということを叩き込まれたようで、いまでも活かされている。今の時代に少々合わない話かもしれないが、いまの私の自信につながっている源、と思っています。 当時の私は院長の期待に応じることができず毎日がつらく、院長室への足取りも重く、こころで叫んだ。
  「また、お仕置き部屋だぁ!!」
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