2009.5.13

看護師という職業について
2病棟看護師 土井久美子

 看護師というと、イメージされるのは今も白衣の天使でしょうか?真っ白なワンピースの制服と頭にナースキャップでしょうか?また、3Kとよばれる過酷な職業でしょうか?女の子のなりたい職業では今も昔も上位の方に入っています。ある調査ではなりたい職業第3位でした。その理由は資格を持てること、人の役に立てること、人に喜ばれること、就職に困らないことなどの理由だそうです。

 この間患者さまとお話をしていた時に「今の看護婦さんは帽子をかぶってないものね」と、久しぶりにこの言葉を聞きました。7〜8年前にナースキャップが廃止の方向になった頃は患者さまからよく聞かれたこの言葉ですが、最近はほとんど耳にすることがなくなってしまっていたので、私の心の中にその言葉が残りました。
 私が初めてナースキャップをつけたのはもう十数年前になりますが、准看護師学校の戴帽式でした。戴帽式というのは、看護学生が病院の実習に臨む前にナイチンゲール像からキャンドルの灯火を受け取り、教員からナースキャップを与えられ、ナイチンゲール誓詞という教えを朗読して、看護師としての出発をする伝統の儀式です。十年以上たった今でも思い出すことができる儀式です。真っ白なナイチンゲール像とオレンジ色のキャンドルの明かりが暗い部屋を少しレトロな風景にし、その中で、ナースキャップを頭に載せていただいて看護師になるのだと決意を新たにするものなのです。
 その時の始まりから現在に至るまで出会ったすべての患者さまからは、生命や病気のことだけでなく社会のことや人の気持ちなどさまざまなことを教えていただきました。また、毎日の患者さまとの関わりの中では、うれしかったことだけではなく時には落ち込んだり、すごく疲れたりすることもありますが、すべて看護師という仕事だからこそ得られる気持ちだと思います。そして今まで出会った患者さまとの関わりが今の私の看護に結びついているのだと思います。確かにきつい仕事ではありますがやりがいがあり、自分自身が成長していける仕事だと思います。
 そして私は、2年前に正看護師の学校に進みました。その時はもう戴帽式はありませんでした。また、今はワンピースの白衣よりもズボンスタイルの白衣の方がく見られるようになり、色も白一色ではなくカラフルなユニホームを着ている病院もあります。ナースキャップを含め、もちろんこれらの変化は医療現場において問題があって改善されたのです。
 医療の世界は技術的なことだけでなく、こうしたこともどんどん新しく変わっています。昨年から政府は、フィリピンやインドネシアなどの国外からも看護師の人材を受け入れ始めました。

 これからは看護師というイメージも変わっていくと思います。でも私は初めてナースキャップをつけた時の気持ちを大切にしながら、今でも憧れのこの仕事を続けていきたいと思います。
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