2010.7.2

旅をする意味
病棟看護師  山本 幸恵

 私は旅行が大好きで、プランを考えるだけでもワクワクしてきます。看護師という仕事は、肉体的にも精神的にもキツイ面もあり、オンオフを切り替える為にも、休みがあれば旅行に出かけています。学生時代や長期休暇の際には大きなリュック一つで東北地方や、北海道・九州を周遊し、各地の温泉を巡ったり、海外ではヨーロッパ・ニューカレドニア・韓国・台湾・ベトナム・カンボジア・カナダなど様々な国を訪れました。

 旅の魅力は、雄大な景色や自然に触れること、その土地の人々の暮らしや生活を知ること、旅先での人との触れ合いやその土地でしか味わえないグルメを楽しむことです。国が違えば考え方も違います。例えばカナダでは、日本の国土面積の27倍でありながら自然を守る環境予算は日本の400倍もの金額を投じており、小学生の授業にも野鳥の鳴き声や動物の生態系を学ぶ項目があり、幼い頃から自然を大切にする考えが培われています。また、島国で平和な日本に住む私にとっては韓国の軍事境界線も衝撃的であり、カンボジアで片足のない子共達の屈託のない笑顔も印象に残っています。
 旅先でのグルメでもお鍋の奥深さに関心したこあります。例えば、すき焼きでも地方や旅館によって違いますが、一杯目は濃い味に、二杯目は薄味にするそうです。人間の味覚は、二杯目の方が味を濃く感じる為に味付けを変えると知りました。経験や心遣いがなす技だと関心しました。
 私にとっての旅行は、自然はもとより歴史やそこに居た人々のエネルギー、全てを受け継いで培われてきたものを、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の五感をフルに使って感じ取ることで自分の学びとなり、感性を育てる事につながると思います。看護師の仕事でも、声に出して訴えることの出来ない患者さまの思いを感じ取ることや病状や状態を五感を使って感じ取ることが看護師の感性を育てることではないかと思っています。

 看護師の仕事をしていると、患者さまとの会話の中で「もう一度○○へ行きたいけど、こんな身体じゃね・・・」と年齢や体調・障害を理由に旅行を諦めている声を耳にします。今後、ますます加速する高齢化社会で、「旅をあきらめない」をコンセプトにボランティアで旅のお手伝いをしたり、ガイドヘルパーという仕事もできています。今後は、大好きな旅を通じてQOLの向上が図れるお手伝いを私もしていきたいと思っています。
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