2010.10.1

大切にしていること
病棟看護師  農蘇 千鶴

 看護師になって始めての夏休みホームシック気味だった私にとって待ちに待った久々の帰省でした。あれ?ちょっと見ないうちにお母さん痩せたかな?という印象でした。少し歩いただけですぐに疲れたりして…。「お母さんも年とったね」なんて冗談を言い、その時の私は気にも留めていませんでした。

 夏休みも終わって一週間後、母が癌の可能性があり検査入院をすることになったと入院先の先生から連絡がありました。「え?あの…失礼ですが、電話の相手を間違えていませんか?」と言いたくなるような、これは夢か?現実か?訳がわからない状態でした。入院して二週間後、大腸癌原発の肝転移で母は亡くなりました。どれだけ我慢していたのだろう?と思いました。どれだけ辛かったのだろう?と思いました。いつからおかしいと感じていたのだろう?と思いました。どうして言ってくれなかったのだろう?と思いました。どうして気づけなかったのだろうと思いました。帰省したあの時の疲れは癌の症状だったのに…と悔いました。私は看護師なのに…と悔いました。どれだけ悔いても母が返ってくるわけではありませんが、自分の未熟さにどうしようもない気持ちでした。

 極当り前のことですが、「あれ?いつもと何処かチョッと違うな」という、どんな些細な変化でも、異常の早期発見、速やかな処置につながるように、日々患者さまと接して行くことを心がけ、大切にしています。
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