2010.11.1

科学と看護
病棟看護師    末永 信子

 2010年6月、小惑星探査機「はやぶさ」が7年間の歳月を経て地球に帰還しました。ニュースで見た方もいと思います。燃え尽きながら役目を果たし戻ってきたはやぶさの姿は理系全滅な私でも感動しました。そして改めて思いました、日本人ってすごいなーと。

 そこで日本人が発明したものって何があるのかと調べてみました。インスタントラーメン、インスタントコーヒー、アイスコーヒー、光ファイバー、乾電池、胃カメラ、コンタクトレンズ、ウォシュレットなどなど。なかには大本は外国にあり、それを一般的に使えるよう改良したものもあるようですが、どれもこれも今当たり前のように私たちの生活にあるものばかりでした。ウォシュレットはハリウッドスターが来日の際、感動し購入して帰ることもいということです。また、日本のラーメン、カレーをみると日本人のアレンジ力のすごさにも驚かされます。
 こうした発想はどこから来るのか?生活を快適にしたいから?ある意味なまけものだから?それもあるかもしれません。
 私が出勤時によく缶コーヒーを買う自動販売機は、毎朝「おはようございます、いってらっしゃい」と言います。毎朝だとわずらわしくも感じるし、外国の人はびっくりするだろうなと思います。でもたま〜にその声に「いってきます」と心の中で返してしまう自分がいます。この機械にしゃべらせようと思った人は「学校・仕事大変だけど、晴れの日も雨の日もあるだろうけど、がんばって!」という気持ちを込めて作ったのかなと思います。分これこそが日本人の発想の原点なんじゃないかなあと、相手ありきの。 自分が快適になるだけじゃなくて、消費者のことを考えてより使いやすいものに改良していく、当たり前ですがそれがいろいろな発明を産んできたのでしょう。

 相手を思いやる心、看護もまさしくそうなのです。看護学生の時、「看護は科学です」と耳にタコが出来るぐらい云われましたが、このごろやっとわかるようになりました。患者さまにとって何が必要で大切なのかを考えケアしていく。相手のことを思えば優しいだけではいられないこともあります。また限られた時間、限られた人員で及ばないこともあります。目の前の仕事をやるのに精一杯で余裕のないこともあります。でも迷ったときは「この患者さまにとって何が大切なのか。私がこの人ならあるいはこの人の家族ならどうしたいか」と考えます。人間の数だけ価値観もあるので他のスタッフの意見も聞きながら。正解な答えなどありませんがその時間は無駄じゃないと思います。
 そしてそれはどちらも相手を思いやるという所から発し、進歩しています。どんなに忙しくてもそこから離れないことが大事ですね。 そしていつも患者さまからもらう「ありがとう」の一言が、単純だけど私のモチベーションにつながっています。
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