2011.2.1

ウチの犬
病棟看護師 冨樫 真未

 今年の冬は特に寒さが厳しいようです。上京して4年目…本当にあっという間です。
 最近は、この季節になるとウチの犬のことを思い出します。小学生の時、どうしても犬が飼いたかった私は、両親に何度も何度もお願いをし、やっと飼うことを許されました。どの犬種を飼おうか考えているときに、親戚のおじさんが、「柴犬の仔犬なら貰い手を探している人がいる」と言い、そのまま譲ってもらうことになりました。仔犬にミルクをあげ、チョコチョコ歩く犬の散歩…。私の頭の中は妄想でいっぱいのまま譲り受ける当日になりました。目の前に現れた犬は、「仔犬…!?いや、成犬じゃん!!」と言わんばかりに成犬に近い仔犬でした。最初から、ミルクどころかドッグフードを食べ、チョコチョコ歩くどころかグイグイ引っ張られながらの散歩。正直…、騙された!!とも思いましたが、飼わなければよかったとは思いませんでした。

 月日が流れるのは早いもので、我が家に来てから今年で16年目になろうとしています。気がつけば私の人生の半分以上をともにしています。もう立派な家族です。 犬の16歳と言えば高齢のおじいちゃん。それでもまだ食欲はあります。散歩距離は短くなったけどグイグイ引っ張る力もまだまだあります。反対に目は白内障で殆ど見えず、耳は難聴で殆ど聞こえなくなりました。最近は、散歩でこちらが注意していないと電柱にぶつかったり側溝に落ちそうになったり…、それが怖い為か道路の真ん中を堂々と歩くようになりました。田舎道のため殆ど車は通りませんが、いざ車が来るとその場から動こうとしません。「危ないよ。車が来たよ!!」と言っても聴こえません。なので、大きな体を抱きかかえ横道に避難し、「すいません。」と車に向かって頭を下げ、「いいんだよ。」と運転手さんに笑われる始末です。でも私はそれで良いのだと思っています。  ウチの犬が、私の家族が今の状況を受け入れ、納得できているのであれば。それは、犬でも人間でも一緒。その人が、その家族が…、「その人らしい生活」を見つけ、納得し受け入れられることこそが大切であると思います。だから、私は「その人らしい生活」に少しでも近づけられるよう看護を行っていきたいと思います。

 今年も私の田舎である東北は寒いです。大雪です。
 ウチの犬は今年の冬が越せるのか心配ですが、逆にそれが私にとって頑張ろうという励みにもなります。だから、私はここ東京で私らしくこれからも頑張っていこうと思います。
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